近江の食文化、その老舗たり得る為にその昔、シルクロードによって「胡椒」が運ばれていたことは有名です。
おいしいものを、よりおいしく、という人間の願望はすさまじく、まさに命がけであったという証拠です。
そして、その本能的とも言うべき努力の積み重ねが、今日の食文化を築いてきました。
私達日本人は、文明開化と共に「牛肉を食する文明」に触れ、以来一世紀、「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」という新しい料理を工夫し、「霜降り」と呼ばれる和牛独特の高品質の肉もつくってきました。
「毛利志満」は文明開化以来、この流れと共にあり、近江牛を生み出したパイオニアとして老舗の「のれん」を守り続けています。
しかし今日、時代の変化はますます激しく、「老舗」が「仕似(しにせ)」であることは決して許されなくなりつつあります。 「老舗」とは「仕似」とも書き「先祖からの仕事を真似して守り継ぐ」という意味が語源だそうです。
変化がゆるやかな時代には、「仕似」であっても生業は守られてきました。
しかし、変化のめまぐるしい現代社会にあって、決してそれは許されず、「老舗」の条件は「伝統の中に変化を処してゆくこと」と私達は自覚しています。
近江牛を育て、近江牛を守り、近江牛を軸とした食文化をどこまでも逞しく追求し続けてゆくことを天職と心得つつ…